ドコモ5Gオープンパートナープログラム

ドコモ5Gオープンパートナープログラム®テーマ別ワークショップ「5G×AR/VR」
詳細レポート

2018年5月24日、「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」のワークショップを東京都有明のTFTホールにて開催しました。第2回となる今回のワークショップは「5G×AR/VR」をテーマとしました。セッション内容などとともに当日の模様を振り返ります。

AR/VRをテーマにしたワークショップが初開催

開幕に先立ち登壇したのはNTTドコモ(以下、ドコモ)法人ビジネス戦略部部長の荻野衛です。まず、今回のテーマを「5G×AR/VR」とした理由について「第1回のキックオフとなるワークショップ実施後のアンケートにおいて『ワークショップに取り上げてほしいテーマとしてAR/VR』という要望を数多くいただきました」と説明しました。ドコモでは今年4月に、5Gを体感できるスペースとして「ドコモ5Gオープンラボ® Yotsuya」を開設し、5月には「ドコモ5Gオープンラボ OSAKA」を大阪市内に開設することを発表しました。荻野は「ラボを活用しながら、さまざまな業界のパートナーとの連携を強化し、5Gの新たなサービス創出に向けた取り組みを加速させていきます」と話し、開幕の挨拶を締めくくりました。

その後、ドコモの法人ビジネス戦略部サービス企画 担当部長 有田浩之を進行役に、4社のパートナー及びドコモがそれぞれ立場から、AR/VRに対してどんな取り組みを行っているのかのショートプレゼンを実施しました。

今回はショートプレゼン内容を可視化するために、グラフィックレコーディングを導入しました。
ショートプレゼン中に作成され、第1部終了時にはボードを公開しました。

導入200社超!「住宅VRシステム」の驚くべき効果
(福井コンピュータアーキテクト)

ショートプレゼンテーション1社目は、福井コンピュータアーキテクト Ci戦略事業部の塩尾知仁氏です。塩尾氏は「モデルルームは「見る」から「体感する」へ 圧倒的な没入感による住宅VRプレゼンと活用事例」と題し、全国のハウスメーカーやデベロッパー200社以上に導入されている「住宅VRシステム」を紹介しました。

戸建住宅や分譲マンションを購入する際には、物件が完成する前にモデルハウスやモデルルームで内装や間取りを確認するのが常識でした。壁紙や床材は、サンプルを頼りに全体像を想像するしかありません。また、バルコニーからどんな眺望を見えるかについても、入居してみなければわかりません。そんな住宅プレゼンの課題を解決したのがVRです。

完成した物件イメージ映像を作成し、ドローンやパノラマ写真などで撮影した建設予定地の眺望と合成。物件希望者は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使って内装の雰囲気から眺望までをリアルに体感することができます。ユーザーからは「非常に良かった」「良かった」という声が約85%を占めるほど高い評価を得ています。塩尾氏は「5Gによって通信速度が速くなることでこれまで以上にVRのメリットが広がります」と話します。

フィールド現場作業が劇的に変わるARソリューション「AceReal」
(サン電子)

続いて2社目は、サン電子 AceReal事業部 営業部 営業課 課長 大木順平氏が登壇。「5G × AceRealが描く未来」と題して、フィールド現場の業務スタイルを変革するARソリューション「AceReal」を紹介しました。

モバイルルータなどの通信モジュールや、IoT/M2Mソリューション、スマートフォン向けゲームアプリ、パチンコ向け遊技台部品・ホールシステムなどを展開するサン電子。さまざまな事業を通じて同社は、部品製造から制御システム、インターフェース開発に関する独自のノウハウを持っています。それを生かしたのがAceRealです。

AceRealは、フィールド作業員が装着する専用スマートグラス「AceRealOne」と専用アプリケーション「AceReal Apps」、ソフトウェア開発キット「AceReal SDK」などで構成されるソリューションです。現場作業員がスマートグラスを装着すると、部品の情報や修理履歴、操作ガイドなどの情報を現実空間と同時に映し込みます。

「遠隔支援のため情報や、研修での操作マニュアル、修理対応時のチェックリストなどを提示することで、フィールド現場作業の効率化や生産性向上を支援します。5Gに対応することで高速でリアルタイム性が高まり、現場業務は劇的に改善します」と大木氏は説明します。

MRのすごさがわかる「Windows Mixed Realityヘッドセット」
(日本マイクロソフト)

ショートプレゼンの3社目は、HoloLensの開発でおなじみの日本マイクロソフトです。マーケティング&オペレーション部門Windows&デバイスビジネス本部 シニアプロダクトマネージャーの上田欣典氏が登壇し「Windows Mixed Realityで実現する次世代コンピューティング」と題するプレゼンを行いました。

Mixed Reality(複合現実)は、マイクロソフトが提唱している物理世界とデジタル世界が融合した空間を指す言葉です。VRが目の前に仮想的なデジタル空間を見せる技術で、ARが現実空間の上からデジタル情報を重ねて見せる技術だとすると、MRは、その中間に位置し、VR空間のなかでデジタル情報を重ねて表現する技術です。

同社が開発する「Windows Mixed Realityヘッドセット」は、Windows 10を備え、外部デバイス不要ですぐにMR空間を体験することができます。対応コンテンツはWindows Storeで公開され、現在130を超えるアプリが利用できます。製造設計やデザイン、製造現場、トレーニング、遠隔支援などの業務利用のほか、美術館やアミューズメント施設でのアトラクションなど、利用シーンは大きく広がっています。

また、京都国立博物館の風神雷神図屏風をMRと組み合わせることで新しい体験をもたらした「MRミュージアム in 京都」や、銀座の街をゴジラが壊す様子を集団で体感できるイベント「Godzilla Nights」の模様も映像と合わせて紹介されました。

「フリーロームVR」がもたらす体験がパッケージ化され流通する世界
(ABAL)

4社目のショートプレゼンテーションには、ABAL代表取締役の尾小山良哉氏が登壇し、同社が取り組む「フリーロームVR」という、VRを活用したこれまでにない体験アトラクションシステムを紹介しました。

ABALは、リアルタイムCG技術とAR技術に強みを持つ企業A440社と、TVCMやアニメーションなどのグラフィック制作に強みを持つロボット社、CG映像制作を行うwise社の3社のジョイントベンチャーとして設立された企業です。

フリーロームVRは、通常のVRとは違って、複数のユーザーが一緒に空間を共有し、お互いを認識したり、手で物体を触れる感覚を体験できます。昨年夏に開催された「六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION 2017」や、東京モーターショー2017・デンソーブースでのアトラクション、プラネタリウムクリエーター大平貴之氏とコラボした「世界初フリーロームVRプラネタリウム」などに使われています。

このフリーロームVRを実現するための3D撮影ソリューションが、マイクロソフトの提供する「Hcapスタジオ(Mixed Reality Capture Studios)です。「UXコミュニケーションは今後5年で大きく変化し、従来のような文字や映像によるコミュニケーションから、体験によるコミュニケーションに変化します」と訴える尾小山氏。単なる映像や音声でなく個人の「体験そのもの」がパッケージ化され、流通する世界には、5Gによる高速かつ同時接続が欠かせないと尾小山は訴えます。

VR技術開発と東北復興支援の取り組み
(NTTドコモ)

パートナー企業の登壇後は、ドコモからのショートプレゼンテーションが行われました。まず移動機開発部 第二イノベーション推進 担当課長 的場直人が登壇し「5G時代に向けたVR技術開発」の舞台裏を紹介しました。

ドコモによるVR技術開発の事例としては、パノラマ超エンジンにより8KVRを視聴可能にした「スマホ8KVR」や、2D/3Dの4KVR映像を簡易なシステムで配信する「簡易4KVRライブ配信システム」などがあります。これらは、2017年に世界文化遺産に登録された宗像・沖ノ島を巡る「8KVR映像による沖ノ島トラベル体験」や、東京ガールズコレクションでのライブVR配信などに生かされています。

そのほか、世界初 8K・60fps・立体音響パノラマ映像視聴システムを開発しCEATEC Japan 2017に出展したことや、シャープのIGZOディスプレイを使った高精細ディスプレイのHMDへの適用、ヤマハと協力して立体音響VRを開発したことなどが紹介されました。

続いて、東北復興新生支援室 担当部長 福井克彦が登壇し、東日本大震災をきっかけに発足した東北復興新生支援室でも、5GやVRの活用が積極的に検討されていることを紹介しました。

東北復興新生支援室が目指しているのは、東北の現場から課題解決の仕組みを創造し、全国へ新しい価値を展開すること。「社会課題の解決には、コミュニティ再生が重要なカギです。そのための社会課題解決・ビジネスの創生が私たちの役割です」と福井は説明します。

では、社会課題解決のために5GやVRはどんな活用ができるのでしょうか。いま検討が進められているのは、震災当時の映像データなどを蓄積した「震災アーカイブ」を活用したコンテンツ制作などです。また「立ち入り禁止区域とのリアルタイム連携したIT遠足」というアイデアには、故郷を知らない子どもたちが故郷を追体験できるとして大きな反響がありました。

バーチャルな触覚を体験する「ハプティクス・インターフェース」から見る
VRの発展

ショートプレゼンテーションのあとは特別講演が行われました。まずは、筑波大学システム情報系教授 岩田洋夫氏が登壇し、「VRの歴史と、未来の可能性」と題する特別講演が行われました。岩田氏は1986年から筑波大学でバーチャルリアリティの研究を行ってきた国内VR先駆者の1人であり、2016年から日本バーチャルリアリティ学会の会長も務めます。

岩田氏が専門としてきたのは、VR技術のなかでも「体性感覚(一般には触覚)」と呼ばれる領域です。学問的にはハプティクスと呼ばれ、バーチャルな世界に触れる技術を「ハプティクス・インターフェース」と言います。

「見る技術は映画やテレビ、HMDで実現できます。また、聞く技術もオーディオや電話で実現されています。これに対し、触る技術は実現が難しい。体性感覚は全身に発生し、機械的な刺激が必要なため提示が難しいのです」(岩田氏)

そのうえで岩田氏は、ハプティクス・インターフェース開発の歴史をさまざまな例とともに振り返っていきました。「素手で映像に触れられる装置」「医師のための肝臓をつかんだ感覚を提示する装置」「振動を起こすことで、空中で反力を生成するデバイス」「食べるVR」「歩く方向を検知して自分で動く床」「ワイヤー駆動モーションを体験できるVR空間」など非常に多彩な例が紹介されました。もちろんこれらのほとんどは研究中のものですが、未来のVR活用のヒントが散りばめられた内容となりました。

5G時代、テクノロジーとアートが作り出す人々の暮らしとは

ワークショップの締めくくりとなった特別講演には、アルスエレクトロニカの総合芸術監督でメディア・アーティストのゲルフリート・シュトッカー氏が登壇し「5G時代、未来の都市や暮らしはどこへ向かうのか? 」と題する講演を行いました。

アルスエレクトロニカは、拠点のあるオーストリアのリンツを中心に定期的に開催されているアート、テクノロジー、ソサエティに関する世界的なフェスティバルです。シュトッカー氏は、1991年にX-スペースというグループを結成し、インタラクション・ロボット工学・通信などの領域を横断した作品を制作。1995年にアルスエレクトロニカ・フェスティバルの総合芸術監督に就任し、以降、アルスエレクトロニカのトップとして活躍しています。

講演では、アルスエレクトロニカの取り組みや、テクノロジーとカルチャーの関係性、現実と期待から生まれるギャップや懸念、サイエンスやテクノロジーに対してアートが果たす役割が紹介されました。ドローンや自動運転、VR、AR、MRなどの新しいテクノロジーが進展する中で、都市や人々の暮らしはどう変わるのでしょうか。シュトッカー氏はこう語りました。

「これから重要なことはテクノロジーが持つ文化的な側面を理解することです。例えば、デジタルメディアはソーシャルメディアとして、スマートロボットはソーシャルロボットとして理解することが求められます。テクノロジーはカルチャーであり、カルチャーがテクノロジーのカタチを作るのです」とシュトッカー氏は語り、豊富な事例をもとにテクノロジーやアートの将来像を示唆しました。

参加者と登壇者が交流できるビジネスネットワーキングも開催

ショートプレゼンテーションと特別講演の後は、別のフロアに会場を移し、ドコモや登壇企業、参加者が自由に交流できるビジネスネットワーキングを開催しました。会場には、5Gのビジネスインパクトがシンプルに理解できる「What's 5G WALL」と呼ばれる立て看板が設置し、また、ショートプレゼンテーションの内容をビジュアルに記録したノートや、5GやAR/VRに対するアイデアを参加者が自由に記入して掲示するアイデアボードも設置することで参加者間のコミュニケーションの活性化を図りました。

アイデアボードには、「スマート街灯で5分後のにわか雨を予測」「ドローンや防犯カメラを複数台同時接続して急病人や被災地の難民対策を行う」「リアルタイム遠隔手術で医療の質の均質化」「大量のスマホを同時接続し、ライブ会場での決済を高速化」など数々のアイデアが張り出され、多くの参加者の興味を引いていました。

また、登壇者と直接情報交換やコミュニケーションができる各社の展示ブースが設けられ、ショートプレゼンテーションで紹介したVRソリューションのデモを参加者が実際に体感したり、登壇企業の担当者と活発に交流したりする様子が見られました。このほかにも、会場ではビジネスのマッチングを行うための掲示板などが設置され、今回のワークショップは、参加したパートナー同士でさまざまなつながりを促進するものとなりました。

※「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」「docomo 5G DX AWARDS」「ドコモ5Gオープンラボ」「ドコモオープンイノベーションクラウド」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
※「ネットワークカスタマイゼーション」「キャリー5G」「クラウドダイレクト」は、株式会社NTTドコモの商標です。