ドコモ5Gオープンパートナープログラム

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地方の医療を救う「5Gによる遠隔医療」徳島での実証実験をレポート

実験概要

NTTドコモ四国支社は徳島県と協力し、2020年1月14日(火)から2月14日(金)の期間、徳島県立中央病院(以下、中央病院)および徳島県立海部病院(以下、海部病院)において、第5世代移動通信方式(5G)を活用したへき地における遠隔医療の実現に向けた実証実験を行いました。
国内初となる「4K高精細マルチ医療画像伝送システム」の有用性を確認する実証実験などの成果を踏まえ、春以降の5G実用化に向けた取り組みを進めていきます。

実施日

2020.1.14(火)~2020.2.14(金)

実施場所

徳島県立中央病院
徳島県立海部病院

参加企業・団体

課題選定

地域間における医療格差を解決するため「5G遠隔診療」に注目

医療分野において、全国的に医師不足や医師の偏在が大きな課題となっています。離島やへき地をはじめとした過疎地域と、東京・大阪といった大都市との間の医療格差が拡大していく現状に対して、現在、注目されているのが高速大容量の5G通信ネットワークを活用した遠隔医療です。

そうした中、徳島県とNTTドコモ四国支社は、中央病院と海部病院を5Gでつなぎ、へき地における遠隔医療の実証実験を実施しました。

海部病院がある牟岐町は、徳島県の南端に位置し、沖合には出羽島、牟岐大島・津島を保有する人口4,000人強の町です。
少子高齢化の進展とともに人口が減っていくに従い、他の過疎地域と同様、医師不足が大きな課題となっていました。
医師不足の問題を打破するために、同院では以前から影治副院長を中心にWeb会議システムを活用した遠隔診療が進められていましたが、より高精細な映像を遅延なくリアルタイムに共有できる通信環境を求めており、徳島県と共に5G導入の検討を開始しました。
そこで、スマートフォンを用いて体重・血圧などの情報を共有し住民の健康管理を行う実証実験を手掛けた実績のあるドコモをパートナーとして選出。
徳島県、両病院関係者、ドコモが協力することで、今回の実証実験の実現につながりました。

実施詳細

遠隔医療と相性が良い5Gの高速大容量通信

5Gには、大きく分けて「(1)高速・大容量」、「(2)高信頼・低遅延」、「(3)多数の端末の同時接続」という3つの特徴があります。医療の現場において、内視鏡診断やエコー検査など医療機器の画像が高精細化されていく中で、より大容量のデータ輸送を高速かつ遅延の少ないリアルタイム通信を用いて実現できる5Gは院内の情報共有だけでなく、遠隔診療の場面でも相性の良いシステムとなります。

本実証実験に先立って、ドコモは中央病院および海部病院の実証実験エリアに対して5G商用化基地局を設置し、双方の病院内を5Gエリア化。
国内初となる「4K高精細マルチ医療画像伝送システム」の有用性を確認する遠隔医療の実証実験をするICT環境を整えていきました。

病院間を移動する時間の効率化も視野に

徳島市にある中央病院と牟岐町にある海部病院には約65kmの距離があり、自動車で片道2時間ほどかかることも課題の1つに挙げられていました。
「海部病院には専門医がいないから」と牟岐町で暮らす患者さん自身が自動車を運転して中央病院に通うことは難しい面がある一方、実証実験テーマの1つである内視鏡検査を行う消化器内科をはじめ医師が不足している医療分野においては、週に何日か担当医師が中央病院から海部病院まで診察に行くという体制は医師にとっても負担となっています。

5G通信とICTの活用により、そうした患者側と医師側、両者の負担を減らし、遠隔診療により医療の未来を変えていくことを目標の1つとしてスタートしたのが本実証実験なのです。

後編レポート

前回の記事では、今回の実証実験に至るまでの背景を紹介しましたが、今回では、本実証実験で実際に行われた内容の詳細をレポートします。

糖尿病診断、超音波エコー遠隔診療をはじめ4種類の実証実験を実施

遠隔医療の実証実験では、徳島県立中央病院(以下、中央病院)と徳島県立海部病院(以下、海部病院)に設置された5G商用化基地局を本格的に活用しています。
海部病院において4Kカメラ・4K内視鏡などで撮影した映像データを中央病院に設置されたモニターとノートPCに送信。
リアルタイムに映像データを確認しながら、中央病院の医師がPC画面と音声を活用して、患者さんの診察やデモ患者(人形)を用いた仮想手術の指示を行いました。

今回、実施された実証実験は、同意をいただいた実患者さんにご参加いただいた(1)糖尿病診断、研修医が学習に用いるデモ患者(人形)を用いた(2)手術/検査用内視鏡遠隔診療、(3)超音波エコー遠隔診療、(4)緊急時を想定したER(救急救命室)デモ診療の4種類です。これらの実証実験の中から、メディア公開された手術用内視鏡遠隔診療の様子をレポートします。

実際の診療と遜色のない内視鏡遠隔診療を実証

内視鏡遠隔診断では、患者様のご協力のもと、既存の検査用内視鏡(胃カメラ)を用いた診療が行われた後に、デモ患者(人形)アナログ内視鏡を用いた診療が行われました。はじめに中央病院 消化器内科の中本医師から海部病院 内科・総合診療科の花田医師(4年目)へ内視鏡検査の進め方について指示を行い、花田医師が内視鏡を操作し、5G通信を用い実患者、デモ患者(人形)の内視鏡画像を伝送しました。

今回は大画面モニターで患部を確認しながら、ノートPC上で画像に円や矢印を描いて指示を出せるコミュニケーションツールCisco Webexを利用。中本医師が食道や胃などにあるポリープを確認しやすい角度で映すように指示を出しつつ診察を行いました。
リアルタイムに双方で共有している画像に対してピンポイントで指示を出せるため、口頭による指示と比較してストレスなく意思を伝えられるのはWebexならではのメリットです。

また、非公開で実患者さんに対して内視鏡の遠隔診療をした際にもスムーズな診察を行うことができた結果を受けて、「5Gによる内視鏡遠隔診療はほぼ実用段階に来ているのではないでしょうか。ドクター不足の現状に対して、若手医師に対して指導医が指示を出すことで遠隔地でも診療を受けられるのは患者さんにとっても大きなメリットだと思います。ぜひ実用化していただけることを願っています」(中本医師)

5G遠隔教育による医師のスキルアップも視野に

海部病院のような総合病院だけでなく、離島やへき地にある診療所などにおいても、経験の浅い医師にとっても5Gは新たな機会を提供できると期待されています。
実際、海部病院において内視鏡の操作を担当した花田医師は「臨床経験の少ない分野で、リアルタイム映像を通して専門の先生にアドバイスをいただけるのは非常にありがたいです。地元で気軽にさまざまな診察を受けられることは患者さんにとってメリットとなることはもちろん、私のような若手医師にとっては学びという面でも非常に5G環境は役立つと思います。ぜひ、導入していただければと願っております」と話していました。

遠隔で糖尿病診断を受けた患者さんからも「対面と同じように先生とコミュニケーションができ、安心して診察を受けられた」といった好意的な意見が出たことは今後の展開にとってプラスの材料となりそうです。

1カ月にわたる実証実験の結果を踏まえて5G実用化を検討

徳島県、中央病院、海部病院、NTTドコモ、実患者さんをはじめ多くの皆さまが協力することで実現した5Gによる遠隔医療実証実験。「現在、今回の実証実験の結果を受けまして、来年度以降の予算請求をしている段階です。まず実証実験が行われた中央病院と海部病院を5G通信でつなぎ、その後、県立三好病院をはじめ、離島・へき地の診療所を結ぶことを検討していきたいと思います」と徳島県は実証実験の評価を語りました。

日本初となった「4K高精細マルチ医療画像伝送システム」の活用を含む遠隔医療実証実験を経て、日本全国の医療格差を減らし、誰もが安心して診察や治療を受けられる社会の実現へ向けて、徳島県とともにドコモは5Gによる遠隔医療の実用化を進めていきます。

システム構成図

各社の役割

イメージニクス株式会社 4KHDMIビューワ-(IMAGENICS HEV-U41)をご提供頂きました。
オリンパス株式会社 4K内視鏡(OTV-S400、CV-290をご提供頂きました。
4Kエンコーダー(IP-HE950E)4Kデコーダー(IP-HE950D)をご提供頂きました。
株式会社大一器械 各種信号変換器をご提供頂きました。
シスコシステムズ合同会社 Web会議システム(Webex Meetings)をご提供頂きました。

※「ドコモ5Gオープンパートナープログラム」「docomo 5G DX AWARDS」「ドコモ5Gオープンラボ」「ドコモオープンイノベーションクラウド」は、株式会社NTTドコモの登録商標です。
※「ネットワークカスタマイゼーション」「キャリー5G」「クラウドダイレクト」は、株式会社NTTドコモの商標です。